15Mar
ぼた餅は、春のお彼岸に作って食べる餅菓子です。
材料はもち米とうるち米。これをを一対一の量で合わせ、蒸してからすり鉢ですって丸くします。そしてあんこや、きなこ、ごまなどをお好みでまぶします。
よく似たお菓子に「おはぎ」があり、これは秋のお彼岸に作ります。
辞書で「ぼた餅」をひいたら、「おはぎ」に同じとありました。
同じものなのに、どうして呼び名が違うのか考えたことがありますか?
調べてみたら、地方によっては、材料の違いからこの二つを区別しているところがありました。それに呼び名の語源もいろんな説があるようです。
語源はそういうものが多いですね。
きょうは私が気に入ってる名前の由来をご紹介します。
それはそれぞれのお餅がその季節の花に似ているからそう呼ばれるようになったというものです。
ぼた餅は漢字で「牡丹餅」と書きます。あんこをまぶしたお餅の赤みがかった色や、形が牡丹の花を思わせるから「ぼた餅」になりました。また、牡丹は春の花だから、という説もあります。
おはぎは秋に花をつける萩の木が由来です。この植物は秋の七草の一つでもありますね。「萩の餅」に「お」がついて「おはぎ」となり、秋のお餅の呼び名になりました。
実は子どものころ、「棚からぼた餅」という言い方があるので、ぼたっと落ちてくるからぼた餅なのかと本当に思っていました。
これでは風情も何もありません。
ぼた餅もおはぎもその季節の花の色や名前から来ているなんて、四季折々の風物が楽しめる日本のお菓子ならではです。
ちなみに、ぼた餅にまぶすあんこですが、伝統的にこれはこしあんが多いそうです。夏に収穫し、冬を越したあずきの粒が堅いからすりおろしてこしあんにするのです。
秋の「おはぎ」の頃は、収穫からあまり時間がたっていないあずきはがまだ柔らかいので「つぶあん」に仕立てます。
もちろん、これもそういう説があるという話なのですが。
私の家では、春も秋もおはぎと呼んでいました。母はお彼岸には必ずおはぎを作り、つぶあんに近い自家製あんこをまぶしたお餅ときなこをまぶしたものを用意してくれました。
大皿にあんこのと、きなこのをきれいに二色に分けてこんもり盛っていました。
実は私はおはぎのつぶつぶが苦手で、あまり好きじゃなかったのです。たまに文句まで言ってました。
今思うと手作りのおはぎで、季節の恵みをいただいていた私は幸せ者でした。
■記事提供元サイト:フランス語の扉を開こう