25Aug
「やまとなでしこ」というテレビドラマをご存知でしょうか? この「なでしこBlogパラダイス」とは何の関係もないんですけどね。
「やまとなでしこ」は、フジテレビの月9枠ドラマで、2000年の10月9日から12月18日まで放送されました。全11回で平均視聴率26.4%、最高視聴率は34.2%という驚異的な数字を記録。その後も、何度となく再放送され、その度に高視聴率をマークしてきた、伝説のドラマなのです。
主演は、松嶋菜々子。その相手役は、堤真一。
私は再放送で、何度か見ているのですが、最初から最後までを、しっかり見たのは、今回が初めてでした。
10年以上も前のドラマですが、確かに、今見ても、充分に面白いですね。
今回、少し考えてみたいのは、「やまとなでしこ」が今もなお面白く、お化け的な高視聴率を記録した理由についてです。
まずは、このドラマが「喜劇」だということ。考えてみると、コメディドラマで、見続けられるような名作ドラマって、ほとんどないんですよね。
気持ち良く笑える理由は、松嶋菜々子が演じる客室乗務員の神野桜子が、突きぬけたキャラであることだと思います。類いまれな美貌をもつ彼女は、玉の輿に乗るべく、合コンに情熱を燃やし続けるという設定。「愛は年収」というキャッチフレーズそのままに、男性の価値、幸せの条件は「お金」で決まると信じ切っているのです。
この笑えるキャラに加え、物語の設定と展開が絶妙。
しかし、そんな松嶋菜々子の前に現れるのが、彼女の理想とは真逆の魚屋である堤真一。かつては数学者を目指していたという、全く「お金」に縁のない男性です。
物語のスタートは、松嶋菜々子が堤真一を大金持ちだと勘違いすることから始まります。実は、借金を抱えた魚屋なのに……。この巨大なギャップが、笑えますし、これから、二人はどうやって、このギャップを埋めてゆき、愛し合てってゆくのだろうか、と視聴者は期待しないではいられません。
お相手役の堤真一の「お人よしで、お金に縁がない」キャラが、実に効いていました。イケイケの松嶋と正反対の「ぼんやりとした」性格の彼が、それでいて、なかなか魅力的なのです。
面白い(笑える)ポイントを、まとめてみましょう。
1)主人公のヒロインのキャラが突きぬけている。
2)ヒロインと正反対のキャラを相手役にしている。
3)2人にはとてつもなく大きなギャップがあるけれど、そのギャップがいつか埋まるのではないか、という予感が初回から感じられ、その後の展開を期待してしまう。
では、ドラマとしての完成度はどうでしょうか?
この「やまとなでしこ」は喜劇として完璧な装置を有していますが、それだけでなく、人間ドラマとしての深さもあわせもっていますね。
「お金」に執着しすぎる松嶋には、人の寂しさが感じられます。哀愁のかたまりのような堤からは、ほんわかとした温もりが伝わってくるのです。そんな2人が惹かれ合っても、不思議はないでしょう。
この寂しさと温もりが、このコメディ「やまとなでしこ」の真の魅力だと思えてなりません。
それと、超人気ドラマに共通する点は、役者がその作品で絶頂期に達することです。「やまとなでしこ」の松嶋菜々子は、まさに絶頂期……というか、このドラマで絶頂期に入ったというべき。堤真一も、このドラマで確かな存在感を示してくれました。
2人にからむ男女として、矢田亜希子と東幹久が出演していますが、松嶋と堤の完全な引き立て役となっています。
まだ未見の方がおられましたら、レンタル店に行けば、まず置いていないことはないので、ぜひ借りて、ご覧になってください。
情報提供元サイト:美しい言葉.com